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新会社法における合同会社ってなあに?
これまでは、会社の設立というと「株式会社」「有限会社」「合名会社」「合資会社」の4つの組織選択があったんです。新会社法が施行された暁には「有限会社」がなくなり、新たに「合同会社(LLC)」という新しい組織形態が加わります。つまり、会社設立時には「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社(LLC)」の4つの組織から選択することになります。
「合同会社」はLLCとも呼ばれ出資者の全員が株式会社や有限会社と同じ有限責任でありながら、内部規律については民法組合に似ていて、株式会社と違い強行規定がほとんど存在しないので、広く定款自治にゆだねられている会社形態です。
新会社法豆知識! →
「合名会社」「合資会社」「合同会社(LLC)」3つを持分会社と呼びます。
<現行法>
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債権者に対する責任(外部) |
有限責任 |
有限・無限責任 |
無限責任 |
会社統冶体制内部 |
直接統治 所有と経営の一致 ヒト的 |
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合資会社 |
合名会社 |
間接統治 所有と経営の分離 モノ的 |
株式会社 有限会社 |
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<新会社法>
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債権者に対する責任(外部) |
有限責任 |
有限・無限責任 |
無限責任 |
会社統冶体制内部 |
直接統治 所有と経営の一致 ヒト的 |
合同会社 |
合資会社 |
合名会社 |
間接統治 所有と経営の分離 モノ的 |
株式会社 |
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新会社法豆知識! →
- 「合資会社」
- 有限・無限責任社員からなる
合名会社に有限責任で経営には参加しない投資家を加えたもの
経営にタッチできない有限責任社員と、経営にタッチし何かあれば財産を投げ打ってでも責任を負う無限責任社員の組み合わせ
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- 「合名会社」
- 組合に法人格を与えたものに近い
資本の制度による利益配分の制限はない
出資も財産のほか、信用・労務の出資でも可能
債権者に対しては無限の責任を負う無限責任社員
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- 「弁護士法人」「監査法人」「税理士法人」「特許業務法人」「社会保険労務士法人」「行政書士法人」
- これらは各々、弁護士法、公認会計士法、税理士法、弁理士法、社会保険労務士法、行政書士法に基づいた法人で、「合名会社」の制度もとにつくられているので、構成員は全員「無限責任社員」となります。
新会社法における「合同会社(LLC)」と「株式会社」を比べると?
新会社法より新しく登場した「合同会社(LLC)」とは、出資者(社員)の全員が有限責任社員であり、民法上の組合規定に似ており、社員全員の一致で定款の変更や会社のあり方の決定が行われ、各社員が自ら会社の業務の執行にあたるという規律が適用される会社形態であります。
み〜んなが代表取締役みたいなイメージ。
- 会社の内部関係の規律について、「株式会社」は意思決定機関としての株主総会、業務執行役者としての取締役等の期間を設けること、株主の権利内容は原則平等であることなどの強行規定となっていますが、「合同会社(LLC)」においてはこのような強行規定がほとんど存在せず、広く定款自治にゆだねられます。
- 「株式会社」と一致している点は、社員・株主が有限責任社員(出資額の範囲で責任を負う)であるという点と一人でも作ることができるという点です。全社員が有限責任しか負わないので債権者の保護のため、利益配当等について株式会社と同様の財源規制が課されています。
- 「株式会社」は原則株式の譲渡が自由なんですが、「合同会社(LLC)」においてはヒト的つながりが強いため、誰が社員になるかについての持分の譲渡は原則として他の社員の全員の一致が求められています。
- 「合資会社」「合名会社」と同様、定款の認証、払込保管証明は不要なので「株式会社」に比べると設立手続きが簡単です。
- 「合同会社(LLC)」は出資の目的は、金銭その他の財産としており、「合名会社」「合資会社」と違い労務出資などはできません。
LLP(有限責任事業組合)ってなになに?
新会社法の中に規定はありませんが、2005年4月にLLPという組織形態が作れるようになりました。LLPは法人ではなく組合です。またLLPは個人事業主の集まりのような組織であるため、次のような特徴があります。
- 有限責任社員
同じ組合でも、民法による組合では無限責任制が前提となりますが、LLPは出資者全員が有限責任となり、出資者は出資の額までしか事業場の責任を負わないのです。よって有限責任の条件として、法務局へ登記をすることや決算書もきちんと作ることも課せられているんです。
- 内部自治
出資者が自ら経営を行うため、組織内部の取り決めは自由に決めることができるんです。
だから取締役や監査役などの設置が強制されません。
構成員(出資者)課税
- LLPは法人税が非課税
LLPは法人ではないため、法人税が課されず、構成員(出資者)課税になります。よって、利益が出た場合は、利益配当された出資者個人にのみ課税がされ、二重課税を回避できるんです。また、損失が出た場合は出資会社、個人のそれぞれの他の所得と通算することが可能なんです。
合同会社(LLC)とLLPの違いってなあに?
LLCとかLLPとかなんだか似たようなのがあってわかりにくい!ですよね。
とりあえず違いからご説明いたします。
- 合同会社(LLC)は法人格があるため、法人税が課せられます。LLPは組合なので法人ではないんですよ。
- LLPは法人格がないため、構成員(出資者)へのみの課税です。
- 合同会社(LLC)は社員(出資者)1人でも作れますが、LLPは構成員(出資者)が最低2人いないと作ることができません。
- 合同会社(LLC)は「株式会社」「合名会社」「合資会社」に組織変更ができますが、LLPは「株式会社」「合名会社」「合資会社」に組織変更することはできません。
つまり「会社」と「組合」をまたぐ組織変更はできないということですね。
- LLPは組合なので構成員(出資者)に対して報酬や給与を払うことは難しいですが合同会社(LLC)は法人なので、社員(出資者)に対して報酬や給与を支払うことができます。
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合同会社(LLC) |
LLP |
社員(出資者) |
1人でもOK |
2人以上 |
税金 |
法人税 出資者への配当に対しての課税 |
出資者への課税のみ (パススルー課税) |
業務執行者 |
原則 出資者全員
例外 定款又は社員全員の同意
により一部の社員へ
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出資者全員(例外なし) |
組織変更 |
株式会社、合名会社、合資会社 への組織変更が可能 |
不可能 |
LLPと新会社法における「株式会社」を比べると?
<LLPのメリット>
- 株式会社は出資比率に応じた権限分配しかできないけど、LLPは出資金と配当比率は必ずしも比例しないんです。(合名会社、合資会社、合同会社(LLC)も同様。)
だから、「このヒトはよくがんばったし、売り上げに貢献したな」という貢献度などを重視し、自由に配当を決めることができます。
先ほども申し上げましたように、株式会社では出資比率に応じて権限分配しかできないから、出資比率の低い出資者の意見が受け入れられる可能性が低く、出資比率の高い出資者の意に沿った意思決定が行われる可能性が高いのです。「あいつ、金もってるからってデカイ顔しやがって。。。」という感じです。よって株式会社の場合、いくら貢献度が高くても出資比率が少なければ利益分配率は低いことになります。
- 設立費用が安上がりです。まず定款認証が不要なので定款認証代5万円が不要になります。
登録免許税もお安いのだ → 株式会社15万円 > 合同会社(LLC)・LLP6万円
- 決算公告が不要。
- 役員の任期がない。
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